「第3世代Ryzenシリーズではどれがゲーミングに最適なの?」
今回はこんな疑問に答えていきます。
筆者のイチオシは『Ryzen 7 3700X』です。
さらに筆者厳選の2種、計3種をランキング形式で紹介します。
第3世代Ryzenシリーズと第9世代Core iシリーズの比較を解説します。
ゲーミングPCにピッタリの第3世代Ryzenランキング3選
第1位 Ryzen 7 3700X
スペック
- 動作周波数:3.6GB~4.4GB
- L1キャッシュ:512KB
- L2キャッシュ:4MB
- L3キャッシュ:32MB
- TDP:65W
- コア数/スレッド数:8 / 16
- ソケット:AM4
- PCIeレーン数:16
- PCIeリビジョン:4.0
- メモリ:DDR4-3200 Dualchannel
- 最大メモリ:128GB(マザーボード(チップセット)依存)
- 内臓グラフィック:なし
かんたん解説
コスト対パフォーマンス、ワット(TDP)対パフォーマンスに優れ、Intel Core i9-9900Kに迫るパフォーマンスを発揮するAMDのCPUです。
Ryzen 7 3800Xは3700Xに比べ、価格とTDPに見合うほどの性能UPになっていません。クロック数が少し高くなっているだけだからでしょう。その為、筆者は3700Xの方が総合的に優れていると判断しています。
コスト対パフォーマンスに優れている他、Intel Core i9-9900K迫るパフォーマンス(一部ベンチマークでは上回っている)を持っていながら、価格は約70%に抑えられ(15,000~20,000円安い)、安く高性能を期待できるCPUに仕上がっています。
ワット(TDP)対パフォーマンスでは、Intel Core i9-9900Kが95Wとなっている為、電源容量を抑え、発熱量も少なくなっています。騒音原因の一つであるFANが、高回転状態になりにくいので静音性にも優れています。
消費電力が多ければ多いほど、発熱するので当然と言えます。
グラフィックを内蔵していない為、グラフィックボードは必須となります。しかし、多くのオンラインゲームは当然のように要求してくる為、ゲーミングPCとしては欠点とはなりえません。
第3世代からはPCIeリビジョンが次世代の4.0に対応した為、これから登場するであろうPCIe4.0を要求するグラフィックボードをいち早く導入できます。
悲しいのはレーン数が16しかないので、マザーボードがサポートしていたとしても、SLIやCrossFireXによるグラフィック性能強化は最大限活きないところです。まぁ、そこまでやるならCPUはもっと上の物にしたいですし、元々コストに見合わないので余計なことはしない方がよいです。
これをPCとしてマザーボードやグラフィックボード等を入れて仕上げた場合、おおよそ15万~20万になるでしょう。
第2位 Ryzen 9 3900X
スペック
- 動作周波数:3.8GB~4.6GB
- L1キャッシュ:768KB
- L2キャッシュ:6MB
- L3キャッシュ:64MB
- TDP:105W
- コア数/スレッド数:12 / 24
- ソケット:AM4
- PCIeレーン数:16
- PCIeリビジョン:4.0
- メモリ:DDR4-3200 Dualchannel
- 最大メモリ:128GB(マザーボード(チップセット)依存)
- 内臓グラフィック:なし
かんたん解説
一般向けとしては筆者の顔を真っ青にしたCPUです。一般向け最上位の一角であるIntel Core i9-9980XEと同等の性能を持ち、コストでは半分以下、TDPでは3分の2程度に抑えていたからです。
とはいってもベンチマークスコア上の話ですが、目安と言っても嘘はつかないので、よくもまぁ作ったなぁという印象です。
記事を書いている2019/10/4現在では、Ryzen 9 3950Xが発売延期になっています。クロック数はあまり変わらず、16コア32スレッド、L1およびL2キャッシュが少し大きくなった以外の変化はありませんので、3900Xとの価格差が10%前後収まらない限りは、3900Xでよいと思っています。
Intel Core i9-9980XEと同等の性能を持ち、コストでは半分以下、TDPでは3分の2程度と言うのはあまり舐めてはいけません。
Intel Core i9-9980XEの発売日は2018/12の事ですから、そこから換算すると9ヶ月でこの状態となっている為、技術の進歩が速すぎると思う訳です。
1年待たずに半分のコストで最高性能を叩き出せる可能性を持つPCが作り出せ、静音性も高いので、何か理由がない限りは完全に銭失いと言えてしまう訳です。これが15万だったら筆者だってこんなことは言いません。20万のCPUと同等性能が10万以下なのですから。
これをPCとしてマザーボードやグラフィックボード等を入れて仕上げた場合、おおよそ20万~25万になるでしょう。
第3位 Ryzen 5 3600
スペック
- 動作周波数:3.6GB~4.2GB
- L1キャッシュ:384KB
- L2キャッシュ:3MB
- L3キャッシュ:32MB
- TDP:65W
- コア数/スレッド数:6 / 12
- ソケット:AM4
- PCIeレーン数:16
- PCIeリビジョン:4.0
- メモリ:DDR4-3200 Dualchannel
- 最大メモリ:128GB(マザーボード(チップセット)依存)
- 内臓グラフィック:なし
かんたん解説
価格を抑えたいのなら、これしかないというCPUです。
性能はIntel Core i7-9700Kと同等で、価格はその約57%、TDPは3分の2程度というCPUです。
Intel Core i9-9980XEとRyzen 9 3900Xの比較ほど悲惨ではないものの、10万でゲーミングPCと考えた時にこれほどの性能が射程圏内になるのは皮肉といえます。i7-9700Kで10万におさえこむのはかなり非現実的なので。
無論、GTX 1600シリーズの存在も大きいのですが、それでも…というところです。
グラフィック内蔵のRyzen 5 3400Gならもう少し安く手に入りますが、第2世代から内蔵グラフィックに変化もなく、性能も若干上がった程度で、価格は第2世代の6割増しです。
コスト対パフォーマンスは第2世代のRyzen 5 2400Gの方がよいので、予算を5万ぐらいまで押さえたい人はそちらを使った方がよいでしょう。
また、変わってない内蔵グラフィックのRadeon RX Vega 11 GraphicsはGT 1030程度なので、これから登場するゲームには流石に厳しいです。現状あるゲームでも、起動しないゲームがかなりあります。
それでも、Intelの内蔵グラフィックに比べれば相当な性能を持っていますが。
Radeon RX Vega M GH Graphicsを内蔵しているようであればもっと評価は変わったのですが、Ryzen 5 2400GからRyzen 5 3400Gになった時の性能変化に乏しいのも、この辺りのパッケージング技術がIntelに劣っているように思われます。
これをPCとしてマザーボードやグラフィックボード等を入れて仕上げた場合、おおよそ10万前後になるでしょう。
「第3世代Ryzen」と「第9世代Core i」の比較
今まで解説してきたように、本来は余り単純に比較していいものではないです。
今回の場合、第10世代 Core iシリーズのリリースに遅れが出てしまった点で、AMDに大きく水をあけられ、このような比較になってしまう訳です。
第8世代、Coffee LakeのRefreshとはいえ、第9世代も相当な性能を持っています。しかし、発売時期の悪さもあったのか、第2世代Ryzenシリーズと対等だった為に、今回の結果に行きつくのです。
第10世代 Core iシリーズのリリースに遅れが出ているのは、新しい10nmプロセスに問題があったからです。第9世代は14nmプロセスでした。
一方のAMDは第2世代Ryzenシリーズを12nmプロセスで製造し、第3世代は7nmプロセスでの製品化に漕ぎつけて、2019年8月には販売しています。
この2桁プロセスと1桁プロセスには、大きな技術的な壁と大きな周囲の印象の差があります。ナノメートルという単位は、決して人間が目視でどうこうできるような大きさではありませんが、それでも字面になってしまうと印象が違います。
これらが水をあけられることになる原因です。
14nmプロセスの第9世代Core iシリーズは、12nmプロセスの第2世代Ryzenシリーズと同等、あるいは若干勝っている性能だったので、第10世代 Core iシリーズはせめて、第3世代Ryzenシリーズと同等の性能がないと、これからの一般向けCPUの市場はAMDが独占しかねない状況にあります。
期待するしかないのは、筆者も読者もあまり変わらない事ですが。
Ryzen 9 3950Xをすでに3ヶ月ほどの発売延期としています。ただ、同時期に第3世代Ryzen Threadripperの発売が予定されているので、ここでもIntelは苦しい状況です。
AMDのRyzen ThreadripperはIntelで言えばエクストリームエディションに当たります。現状のIntel Core i9-9980XEがRyzen 9 3900Xに同等性能まで追いつかれているようでは、第10世代のエクストリームエディションは生半可な性能では納得されないでしょう。
第2世代Ryzen Threadripperは、実はそんなに高いベンチマークスコアを叩き出しているわけではありません。特にPASSMARKでは、Ryzen Threadripper 2990WXが25,000ほどで、30,000を叩き出したIntel Core i9-9980XEに及ばず、Intel Core i9-9900Kの20,000よりは高いというところでした。
因みに、今回紹介したCPUは
Ryzen 7 3700X:23,000
Ryzen 9 3900X:31,000
Ryzen 5 3600:20,000
です。数値の出所はまとめを確認してください。
スコアは環境(ほかのパーツ)にも左右される為、百の位から切り捨てています。
まぁ、CINEBENCH R15のマルチ性能はそのコア数に見合ったぶっちぎりの値ですが。
コアクロックが3~4.2GBと若干低いのも原因ですが、最適化が進んでいないのも原因です。さらに、コアも多ければいいという訳ではない典型でした。
この辺りをどうするのか楽しみですが、第2世代と似たような結果が出れば、評価は下がることになるでしょう。
まとめ
第3世代Ryzenシリーズのおすすめは
イチオシは『Ryzen 7 3700X』
次点で『Ryzen 9 3900X』
最後が『Ryzen 5 3600』
今回初めてスコア値を示しましたが、実際に筆者が計測したものではありません。ただし、パソコン工房から拾い上げた数値になります。他サイトでも似たような数値になっている事は確認しています。
また、筆者は実際にパーツの違いでベンチマークスコアが変わることは確認しています。特にマザーボードとメモリーの影響を受けやすい傾向にあることは確認しています。OS、Windows10でもバージョンに影響されることもあります。
なので拾い上げた数値から百の位以下を切り捨てました。
自分で計測したいのは山々なのですが、如何せん毎年200万はかるく飛んでいくのでそれはできないというところです。CPUとマザーボードは確実で、時期によってはメモリーもなので。
ドスパラが公開しているベンチマークスコア表も似たような結果になっているので覗いて見てください。使用しているソフトウェアが違うので当然値は違いますがね。リンクは右側に貼ってあります。